陳 情 書
−旧渡島支庁跡地の図書館建設による周辺環境の問題について−
2003年2月6日
函館市長 井 上 博 司 様
時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
市民の長い間の念願だった函館市中央図書館が新しく旧渡島支庁跡地に建設されることになり
住民一同喜んでおります。
ところでこの計画の詳細が明らかになるにつれ、建設予定地の周辺に居住する、あるいは事務所を
有している市民にとって多くの問題があることがわかってきました。
このため周辺の住民有志で「新図書館の周辺環境を考える住民の会」(以下「住民の会」)を作り、
新図書館建設による周辺環境におよぼす影響について住民の立場から検討することにしました。
プロポーザルコンペで採用された設計案は、「審査会」で十分に審議され、決定されたと報道
されていますが、実際は、「建設基本計画」の方針(53頁)の中で、「五稜郭公園との景観の調和」、
「緑豊かな周辺環境」のみを念頭に置いたものと思われます。
私たち周辺住民にとり現在の建築設計案は次の点で周辺住環境に及ぼす影響を考慮していない公共建物で
あると考えます。(各項目について参考までに「住民の会」として解決案をAに書き添えました)
1、 過大に計算された駐車台数(160台)のせいで駐車場が敷地面積の3分の1近くを占めること。
A 駐車場面積を縮小しても駐車場を2階建、あるいは地下駐車場を設ける方法で必要とされる計画台数を
確保することができると考えます。
2、 上記のため残りの敷地に建物がしわ寄せされ、南側の敷地4000uに関して言えば建蔽率が70%
(この地区の法定建蔽率は60%)にもなり隣接する住区の住民には格段の圧迫感を与えること。
A 駐車場を1、Aのようにつくることで建物を東側に移動することにより現在の設計プランを変更する
ことなく建蔽率を60%以下に下げることが可能と考えます。
あるいは内部のレイアウトを工夫することで建物面積を縮小するのもひとつの方法と考えます。
3、 本来であれば“緑の中の図書館”が望ましいにもかかわらず緑地率が僅か15%しかないこと
A 同じように駐車場や建物をコンパクトにすることで緑地部分を増やすことができると考えます。
建設時の工事車輛や開館後の利用者の車が多数通行する可能性、建蔽率の大きいこと、緑地の少な
すぎることなど新図書館に関する問題について、函館市当局は、周辺住民に対する直接の説明は
これまで一度も行っておりません。
町会長と役員に説明会の開催を打診したところ、町会長から説明会は必要ないと言われたのでやめた
(市担当者の話)というのは言い訳けにすぎません。本来、建設地周辺の住民に直接影響する問題に
ついては、当局が責任をもって説明会を開催するべきものであり、町会長や役員がどう言ったところで
住民に対する説明は市の“義務”なのです。
それを町会長の了解で足りるという姿勢は、町会をあたかも行政の末端組織のように考えているもの
であり、町会の民主的自治を損なう行為と考えます。
図書館建設予定地は、渡島支庁舎が取り壊された後も所有者の道によって当時の樹木が現在も大切に
保存されています。
シンジュや赤松の大木をはじめ大小様々な樹木が繁茂して、五稜郭公園の緑地とともに
四季折々付近住民あるいは近くを通行する市民の目を楽しませています。
函館市内の緑地面積は、1986年から1999年までの13年間で468.3haもの大幅な減少をきた
しており、緑地率は10ポイントも低下してわずか17.9%にまでなってしまいました。
このような緑地の減少という危機的な状況のなかで公共施設である図書館が建物の周囲への申し訳け
程度の植裁ですますことは問題ではないでしょうか。
私たち「住民の会」としては、「建設基本計画」で謳っているように「住宅地にも接していること
などから・・・・住宅地など周辺環境への配慮」を現実に住民に納得できるプランで示されるよう要求
するものであります
私たち「住民の会」は、新図書館建設に反対しているのではありません。むしろ文化施設である図書館が
できることを歓迎したいのですが、現在のような設計案では、とうてい喜んで受け入れることはできません。
今後、周辺住民との無用な混乱を避けるためにも、函館市が早急に問題点を整理・解決し、住民との
良好な関係の中で新しい図書館が建設されることを望むものであります。
新図書館の周辺環境を考える住民の会
世話人代表 陳 有瑞
連絡先 〒040-0001 函館市五稜郭町19-15 (有)日昇商事
TEL 0138-52-8411 FAX 0138-52-8170
Eメール goryo@ms3.ncv.ne.jp
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