総   評


                    審査委員長  韮 沢 憲 吉



 2002年ワークショップin函館「こんな町に住みたいな……」作文&エッセ
コンクールには、小学生低学年の部11名、小学生高学年の部39名、中学生の部
15名、高校生・一般の部16名の応募がありました。4回目を迎えて応募総数が少し
減少しているのが残念でしたが、それだけに一つひとつの作品に時間をかけて読み込t
むことが出来ました。
 
 小学生低学年の部では「こんな町はいやだ、こんな町がいい」がテーマでした。町
で見たり感じたりしたことを、自分の言葉で一生懸命、作文にしていました。特に、
交通ルール無視や自動車の暴走音に対して子供らしい憤りをぷつける作文や、町なか
のゴミ、とくに犬のふんの始末を気にしている作文が目立ちました。「犬の飼い主勉
強会を作れ」という提案には審査員一同、納得しました。
 小学生高学年の部では「函館の町で好きなもの、嫌いなもの・これから住みたい函
館」がテーマでした。高学年になると、見たこと知ったことをいったん自分の頭の中
でしっがりと考えてまとめてから作文にしているものが多くありました。ハンディを
持っている人から見た町の住みづらさ、点字プロックに触れた作文も目立ちました。
落書き消し活動、他都市訪問記など自分の経験からもいい作文が生まれていました。
函館の水道や亀田川に触れた作品もありました。
 
 中学生の部では「函館の変わってほしいもの、ほしくないもの・こんな函館の町を
つくろうよ」がテーマでした。作品の多くが、独自の視点を持っていろいろな切り口
から町つくりを考えていました。旧デパートを函館ゆかりのロノクバンドの館にする
提案や、函館の坂道を取り上げた作文なども目立ちましたが、もう少し大胆に発想し
て自分の頭を振り紋って考えると、いい案が生まれたと思います。
 
 一般の部のテーマは「函館の町づくりに望むもの・こんな函館の町をつくろうよ」
でした。このうち、自分の体験から障害者の視点で町づくりと互いの助け合いの共生
(ともいき)を提案した2高校生の作品が、いっしょに選に入りました。
 また、この一般の部に寄せられた作品は、町づくり論文あり、エッセーあり、企画
書あり、という様々なスタイルでしたが、共通して函館の町の再生・活用の具体的提
案が数多く寄せられました。今回、活用アイディア募集として、緑の島、函館病院跡
地、末広町分庁舎、旧西警察署、連絡船摩周丸等の活用方法のご意見を求めましたが
それぞれに楽しくワクワクし実現に期待が膨らみそうな提案が多数ありました。
 
 今回の応募作品全体を通して、審査会の席上では、町づくりの実現可能性に留まる
ことなく、もう一段、大胆な発想から生まれた夢のある提案も、次回に期待したいと
いう声も出ていました。皆さんからまた是非、この函館に夢をいただきたいと思って
おります。


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