これは決して不可能なことではなく、VBで触れたように駐車場のスペースを半減すれば
十分に可能なことで
す。駐車場は現在のスペースの東側半分(図3のCブロックの点線の
下側部分
)とし、削ることで空く北側に建物全体または基本設計素案にある「サービス駐車場」
「駐輪場」「事務室」などをずらし、南側の3角部分を全体として北にずらせば、建築面積を減らす
ことなくできることです。デザイン、レイアウト面でもそれほどの変更とはならないでしょう。
削った駐車場の西側部分には植栽の余地も広がり、さらに3角部分を北にずらしてできる
猶予地にも多くの植栽を施すことが可能になります。同時に
V@Aで触れた問題も解決できます。

 

 D プライバシーを尊重した閲覧席を一定割合確保する

 児童用と新聞・雑誌閲覧の場合を除いて、閲覧席は1人ごとに左右隣と前面を低い壁で囲んで
プライバシーを確保したものとし、静粛を保つため区画を区切った閲覧室(部屋)として総席数の
5割程度を確保するようにしていただきたいと思います。

 児童用と新聞・雑誌閲覧の場合を除いて読書はもとよりAV鑑賞、PC操作などは本来1人で
するものであ
り、周囲から簡単に覗くことができるオープン形式の環境は不適合です。

 さらに最近の傾向として受験生の利用を排除しようとする館内配置が主流ですが、何らの正当な理由がありません。
彼らも図書館利用者であり、むしろ一定のスペースを割り当てて歓迎するべきでしょう。図書館の開館を待って入り口に
受験生が行列をつくるくらいの図書館になるようにするべきです。

 私たちは受験生にも一定の静寂な閲覧室スペースを確保することを求めます。

 

 E 太陽熱発電など再生可能性エネルギーを導入する

 新図書館は省エネルギーを最大限に追及すると謳っていますが、たんに省エネだけではなく、
地球環境の改善に少しでも役立てるため、電気エネルギーを北海道電力にすべて依存するのではなく、
太陽熱発電パネルを設置して少しでも自前の再生可能性エネルギーの供給を図ることが必要ではない
でしょうか。公共施設としてこれからの時代要請に先進的に応えていく新しい姿を市民にアピール
することは、新図書館の存在を印象づける点でも大きな効果を持つでしょう。

 また、雨水についてもそのまま下水路に流してしまわずに、貯留して中水としてトイレや
植栽潅水に使うなどの利活用を図り、川に与える負荷を少しでも軽減する策を取ることをぜひ
検討していただきたいと思います。

 

 F 維持管理、大規模修繕費の見込み額を提示する

 新図書館は延べ床面積(表9整理記号?)が4.5倍になることにより光熱費、空調費などの
維持管理費の大幅な増大が予想されます。その額をどれだけ見込んでいるのか明らかにしていただ
きたいと思います。

 また、築後5、10年など経年による大規模な設備修繕をどれだけ見込んでいるのかを明らかに
することも求めます。

 

 9 現・新図書館の総括比較3

整理記号

項目

現図書館()

新図書館()

比率(b/a)%

?

延べ床面積

1,642u

7,400u

450.7%

【注】@数字は「函館市中央図書館建設基本計画」(函館市教育委員会)による(p.6,7,35,41,49,59,62,63)
   A(a)の各項目の数字は2000年度。

 

 W 結語

 

 図書館はきわめて金のかかる施設です。それは建物建設費(ももちろんですが)ではなく、
 資料収集費や人件
費、維持管理費などの運営経費をさしています。建物など所詮30年も
たてば陳腐化してしまいます。しかし、市民の多くが利用した実績、多くの蔵書資料、ソフト面の
サービスやノウハウなどは市民の心の中に残りつづけます。

 本文の中で私たちは、すでに明らかにされている函館市の新図書館計画についての疑問点、不明点などを数多く
指摘してきました。もちろん函館市の関係部署では現状の問題山積の図書館を変革するビジョンや具体的方策に
ついての検討が一定の進展をみていることと思料します。
しかし問題はそれらが市民に対して積極的に開示され、市民の評価・判断の材料とされていないことです。一方で、
建物と内部レイアウト、駐車場、バス停の位置

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