表6の整理記号?にあるように国の生涯学習審議会による「望ましい基準」に沿うためには現在の
1.9倍(34人)の職員が必要になります。職員数は図書館サービスの根幹の1つであり、十分なサービスを
市民が受けられるかどうかに直接かかわります。十分な蔵書数と期待できる蔵書内容、きめ細かで丁寧な
サービスなどとともに「市民の多くが利用したいと望む図書館」を実現できるかどうかのカギの1つです。
基準を下回るならばサービスの質も量も不十分になり、市民は図書館から離れていきます。
表6 現・新図書館の総括比較2
整理記号 |
項目 |
現図書館(a) |
新図書館(b) |
比率(b/a)% |
? |
職員数(司書資格者) |
18(8)+2人 |
34人 |
188.9% |
? |
年間新聞・雑誌 受け入れ(購入)点数 |
新聞 15紙( 8) 雑誌646誌(60) |
新聞?( 30) 雑誌?(260) |
375.0% 433.3% |
? |
年間図書購入冊数 |
9,372冊 |
34,000冊 |
362.8% |
【注】@数字は「函館市中央図書館建設基本計画」(函館市教育委員会)による(p.6,7,35,41,49,59,62,63)
A職員数の「+」は非正規(嘱託)B(a)の各項目の数字は2000年度。
@ 「望ましい基準」の職員数の確保と職員の6割以上を司書資格者とする
私たちは「望ましい基準」に準拠して、開館時に34人の職員数を満たすように求めます。
また同基準では職員のうち最低でもその6割(21人)は司書資格者を当てることが望ましいと
されています。これも「市民の多くが利用したいと望む図書館」を実現するためにどうしても必要な
条件です。この職員数と司書資格者数の確保は以下のA〜Gの実現と円滑な運営のためにも
必須の条件です。
とくに図書館業務(市民への図書サービス)の特殊性を考えれば、司書資格者はもちろん人材には
適・不適を見極める一方で習熟度を上げるなどのために、一定の養成期間が必要です。「望ましい基準」を
満たすために、開館までの今後3年間にこれをどのように具体的に進めるのか、アクションプログラム
(行動計画)を明らかにすることが必要と考えます。
A 開館日数の増加と開館館時間を大幅に延長する
年間開館日数280日程度、標準閉館時刻午後8時を実現することを私たちは求めます。
現在は月曜日、祝日(文化の日は開館、月曜が祝日の場合は翌日も休館)、毎月最終金曜日、
年末年始、特別整
行われている)などの結果、年間開館日数は250日台と他の公共図書館との比較でも最低水準の
開館日となっています。
これは多くの公共図書館がかなり以前からすでにしていることです。こどもたちや市民に読書の喜びや
図書文化を伝え、同時に図書館が存在する意義を広める大きな機会として積極的に活用すべきでしょう。
図書館は開いていて、利用されてこそ存在する意味があります。年間100日以上も閉館している
という現図書館の稼動情況は早急に改善すべきものと考えます。
また、現図書館の開館時間は午前9時半〜午後5時であり、通常の勤労者は休日しか図書館を利用できないということに
なります。全国の公共図書館の多くでは週の平日1日ないし2日を午後8時閉館とするといった開館時間の延長が実施
されています。一部の公共図書館(たとえば青森市民図書館)では開館日は毎日午後9時閉館を実施しているところすら
存在します。
B すべてのサービスデスクに常時、司書資格者を配置する
現図書館のサービスデスクは3カ所ですが、新図書館では1カ所増えて4カ所の配置が構想されています。
しかし、現図書館ではサービスデスクに司書資格者が常時いる状態ではありません。そのため利用したい
資料の存在や調査方法の相談など利用者の要望に沿えないこともしばしばであり、蔵書資料の場所や内容
すらもわからないこともあります。来館者や利用者を失望させるようなサービスデスクの現状を根本
から変えて、すべてのサービスデスクに常時、司書資格者(または経験をつんだ習熟者)を配置することを
私たちは求めます。開館まで3年間の期間があることを考えれば、経験を積んだ習熟者の養成、配置は
十分可能と考えます。
C 貸し出し者制限を廃止する
現在の「函館市立図書館施行規則」では貸し出し対象を、原則、市内在住または市内に勤務先のある者に限定し
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