B 駐車場用地を計画から半減する

 基本計画では515、000人の年間貸し出し人数(表8の整理記号?´(a)表5?(b)と同じ)
をベースに必要駐車場台数を160台と計算しています。しかし、すでに
TAで述べたとおり
515,000人の年間貸し出し人数は、現状の14.3倍もの数字、「望ましい基準」から
導き出されたもので、この数字を実現するソフト面を中心とした方策が示されていない以上、
現時点では明らかに過大な見積もりといわざるをえません。

  私たちは次のとおり実際数値に基づいた想定から出発します。T@ですでに述べたとおり
新図書館の建設によりソフト、システム面の変革的な改善がない無策のままだとしても自然増
として2倍程度の入館者増は見込めるでしょう。また、「
はじめにA」の表3にある???がある程
度改善されれば3倍程度には入館者が増えるかもしれません。
それは図書館所在地を中心にした半径3kmの円内の居住人口が現図書館の場合の約7万人から、
新図書館では約22万5,000人へと約3.2倍になることでも裏付けられます。さらにいわゆる
新館効果、新しいもの見たさで訪れる人もあるでしょう。それらのすべてを見込んでも上限は現状の
5倍増が妥当なところです。
したがって、私たちは
表8(b)として現状の3倍増の「試算1」と同5倍増した(c)として
「試算2
」を提示します。しかも、これをベースにした私たちの試算には表注にも記したとおり
基本計画の想定よりも次の2点で厳しい(控えめの)条件にしてあります。

 

 ア、基本構想では「貸し出し人数」と「入館者数」を同じにしていますが、実際には貸し出しを
   受けない入館者も訪れます。その比率を貸し出し者の30%と見込みました。基本構想に
   これを適用すれば入館者数は66万9,500人というさらに空想を重ねた数字になります。

 イ、車での来館者を基本計画では45%としていますが、実際には基本計画書p.19の
   「表T−16」のアンケート結果にあるとおり新図書館には「50.8%」が車で来ると回答
   しています。わたし達はこの結果に準拠して車による来館者を50%としました。

 

     その試算結果を総括したのが表8です。来館者が現状の3倍増ではピーク時で49台、5倍増でも81台の
     駐車台数があれば十分であることを示しています。

 

 表8 土日ピーク時の在館者、車利用者台数の試算

整理記号

項目

基本計画の想定(a)

試算1(b)

試算2(c)

    i'

年間貸し出し人数

515,000人

107,688人

179,480人

t

年間入館者数

515,000人

139,994人

233,324人

u

1日入館者数(年270日開館、週6日開館、平日1、土日2.2倍来館)

平均  907人

平日1,362人

土日2,996人

平均518人



平日370人

土日814人

平均  864人

平日  617人

土日1,357人

v

ピーク時の在館者数

土日  750人

土日204人

土日  339人

w

ピーク時の車利用者台数

土日  160台

土日 49台

土日   81台

【注】@(a)の数字は「函館市中央図書館建設基本計画」(p.59、61)によるA(b)(c)のi´の数字はそれぞれ表5の(a) i
3倍、5倍したものB(b)(c)のtの数字はそれぞれの
?´の数字を1.3倍と(a)よりも厳しく想定してある。貸し出しを受けない
入館者が
?´の他に30%いると見込んだ(『図書館の明日をひらく』菅原峻氏・図書館計画施設研究所、晶文社刊に準拠している)
Cu,v,wの数字の算出法は(a)(b)(c)とも共通である。?は午後2時〜4時を入館者のピークとして在館者集中率を25%として算出
しているD?は(a)では?の45%が車で来館し、土日は1台あたり平均2.1人が同乗すると想定して算出している。(b)(c)は
50%が車で来館すると(a)よりも厳しく想定し、土日は1台あたり平均2.1人が同乗すると想定して算出している。

 

 私たちは駐車場のスペースを基本設計素案の半分以下にすることを求めます。市民の図書館に対する
駐車場の需要はそれで十分に満たされます。実際問題、
図2で分かるとおり敷地面積の3分の1近く
を駐車場に当てるような図書館が、図書館として正常な姿なのでしょうか。他の公共図書館でそれほどの
駐車場スペースを割いている例があるのでしょうか?

 

 まして図書館にとって駐車場は必須の条件などではありません。仮に一時的に不足するとしても
、近隣の公共駐車場の活用(土日は隣接の保健センター、あるいは芸術ホール、道立美術館等の駐車場など)
あるいは車以外の交通手段
(五稜郭公園電停からのバス便の増発など)で来館するように誘導するほうが
実際的であり、ソフトや
システム面で魅力のある図書館なら、市民は必ず利用します。駐車場が
あるから来る訳ではなく、逆にいえば駐車場がないから来ないという市民は「
はじめにA」の表3
あるとおり、「8.6%」に過ぎないのです。





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